ただいま、都合によりメールによるお見積り・お問い合わせを停止しております。
お客さまにはご不便をおかけしますが、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

VOLUME POTの「0」問題

過去にも何度か取り上げているお話ですが、
最近、この問題について数件のお問い合わせをいただいたので、
今一度、どういうことなのか?
というのを過去のコラムから抜粋して投稿しますね。

過去、新品のポットに交換してヴォリュームを0にしているのに、
かすかに音が漏れるという症状ががまれにありました。

本来、ヴォリューム0の時に2番端子に接続している摺動子と
アースに落ちている1番端子の間の抵抗体の抵抗値は本来0Ωである事が望ましいのですが、
数Ωの抵抗が生じてしまう「残留抵抗」というのが原因です。

音漏れを全く感じない国産のポットでもざっと測ってみると・・・
0.4Ω 0.3Ω 2.1Ω 1.8Ω 2Ω・・・と1Ω前後で誤差があるんですね・・・。
しかし、次に出てくるCTSのものと比べると、はるかに高い精度で作られている事がわかります。

90年代に作られたCTSポットでは・・・
31.7Ω 190Ω 26Ω 43Ω 26Ω・・・
と理想である「0」とはかなりかけ離れた20Ω以上で160Ω近くの誤差があるんですよね。
恐らく、190Ωもの残留抵抗があると音漏れはかなり大きいと思いますね・・・
ちなみに全て未使用のものですよ・・・。

ここまでを読んでいると
CTSよりも国産のポットの方が圧倒的に優れているんじゃないか?と思いますが、

確か・・・2000年代中盤以降に生産されているCTSポットでは、
抵抗体の1番端子及び3番端子付近に金属皮膜が使われており、
手持ちのもの20個ほどを測ってみると、全て「残留抵抗」は0Ω!!!
よって、音漏れは完全になくなっているんですね。

残留抵抗がなくなったメリットとしては、
「0」の時の音漏れが無くなった。
「10」の時の音量・音色のポット自体の個体差が少なくなった。
という事なのですが、

デメリットとしては・・・
「0」~「2」付近まで無音
「10」~「9」付近までフルボリューム
よって、「0」~「10」までで行えていた音量の可変が、
「2」~「9」付近でしか行えないという事になります。

・・・という事になってしまい、微妙なボリュームコントロールをするプレイヤーにとっては
なんとも使いにくいポットになってしまったんですよね。

これ、抵抗帯についている金属皮膜が長すぎるのが原因なんですけど、
何とか改善をしてほしいものです・・・。

額田


WSR(リペア&カスタム工房)
熟練の職人技と信念を持つチーフリペアマン・額田誠が率いる、渋谷に居を構える楽器のリペア&カスタム工房です。ギター・ベースの調整、パーツ交換、リペア、改造など幅広いオーダーに対応します。
Web : https://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/wsr/index.html

関連記事

Repair
今週のリフレット
今週のリフレット

#47104のステンレスフレットを使ってのリフレットです。こうやって拡大してみると、Jescarのフレットはクラウンの形が綺麗ですよね~。頂点は限りなく線に近いところまで仕上げることが出来るので、シャープな音質と音程感が […]

Read More...
気ままな日記
先週の答え
先週の答え

先週の「Q:何の治具でしょう?」を読まれていない方はまずは読んでいただければと思います! ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓ […]

Read More...
Repair
ファンフレット
ファンフレット

ファンフレットのベースのリフレットです。 この楽器の指板は12インチラディアスで、コンパウンド指板ではありません。 でも、それぞれのフレットはスラントしているので、各フレットによって、ラディアスが違うんですよね・・・。 […]

Read More...
Accessory
サドルスペーサー
サドルスペーサー

FRTなどのロック式アームのサドルの下に敷くスペーサーです。今回はGOTOH1996Tに使います。このトレモロの場合、ブリッジサドルのRは350mmで約14インチになりますので、それ以下の指板Rののギターにマウントする場 […]

Read More...
Accessory
Right On! STRAPS END PIN JACK STRAPLINK
Right On! STRAPS END PIN JACK STRAPLINK

エレアコを使われている方はストラップをつける時にエンドピンジャックの径が大きすぎてうまくハマらない、ハマったけど革がめくれているような状態で不恰好になったりしませんか? そんな時にオススメしたいパーツは「Right On […]

Read More...
Repair
フレット溝
フレット溝

リフレットをする時、フレット溝の深さや幅がどうなっているのかは実際にフレットを抜いてみないとわかりません。セルバインディングが付いているモデルであれば、なおさらです・・・。その溝の状態によってその後の作業工程や進行のスピ […]

Read More...
Tools
喰い切り
喰い切り

こちらは私が使用しているフレット抜きです。 エンドニッパーという工具の底面を加工して、限りなく平面に近い曲面に仕上げています(表現が難しいです。)。10数年の使用で数百本分のギター・ベースのフレットを抜いてきたので、もう […]

Read More...
Repair
今週のリフレット
今週のリフレット

60’sのGibsonギターのリフレットです。同社のギターの場合、フレットを打った後にセルを貼り付けて、その後に指板面とフレットの形状に合わせてセルを削り取っている関係上、指板やフレット回りに対して、面が安定 […]

Read More...

最近の投稿

カテゴリー

アーカイブ

ACCESS

WSR(ダブリュ・エス・アール)
WSR(ダブリュ・エス・アール)

〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂1-7-4 スクエアB 3F
TEL.03-6433-7957
E-Mail wsr@ikebe.co.jp