自分で出来るバリ取り「道具編」
年が明けて、かなり冷え込んできて、乾燥の方もだいぶ進んできましたね。楽器の状態としてこの時期、気になるのがフレットの「バリ」ですね。
過去のコラムで「バリ取り」について詳しく書いていますので、再度、投稿しますね。ただ、あまりにも長いので、本日は「道具編」。来週の水曜日と木曜日に「実践編」を投稿します!!!
ご存知の様に木材は多湿の時には水分を含んで膨張し、乾燥の時には水分を吐いて収縮します。フレットのバリは乾燥によって、指板材が収縮することで起こります。
フレットの方は乾燥や気温の低下によって、殆ど収縮しませんからね。要するに収縮率の違いによって起こるわけです。
日本では夏の超高温・超多湿、冬の低温・超乾燥という気候の条件ではどんなに木材のシーズニングを行っても、塗装の種類や経年で100%それを回避するというのは難しいでしょうね。
バリの出てしまっているフレットでそのまま弾こうとしても、痛くて弾けないですし、場合によっては出血します(笑)!!!
この出てしまっている「バリ」を適切に処理する行為がバリ取りになります。
当然ですが、バリ取りにもそれなりな道具が必要になります。今回は必要と思われる工具の紹介から・・・。
①目立てヤスリ
元々は鋸の目立て(切れ味の悪くなった刃を研ぐ)をする為のヤスリですが、通常の金工ヤスリを使うよりも薄くて幅広で使い易く、切削面も綺麗なので、後に使うペーパーでの研磨が楽になり、大変使い易いです。
②マスキングテープ
念のため、指板面やフレットトップ、不慮の事故で削ってはいけない部分を保護するためのものです。
③サンドペーパー
目立てヤスリで切削した傷を消すためのものです。必要に応じて、#600~#1200位のものがあればよいと思います。番手が細かいほど仕上がりは綺麗になります。
④ブロック
私が使っているものは学生時代に自作したものですが、同じようなものはDIYのお店で入手できると思います。サンドペーパーを巻きつけるのに使います。
⑤金属磨きクロス
我々は最終的にバフをかけて仕上げますが、ご家庭ではまず無理なので、こちらをお勧めします。クロスにコンパウンドとワックスが含まれている特殊なもので、楽器屋さんでもDIYのお店でも入手可能です。
こちらを使うと、バフをかけたときと同様とまではいきませんが、ピカピカのフレットに仕上げることが出来ます。
⑥フレットファイル
バリの程度によってはフレットサイドをかなり大きく切削しなくてはなりません。その場合はフレットサイドの処理も新たにやり直す必要があるんですよね。
コレを使うことによって、フレットサイドを丸く仕上げることが出来ます。
では、来週もお楽しみに!!!
額田
WSR(リペア&カスタム工房)
熟練の職人技と信念を持つチーフリペアマン・額田誠が率いる、渋谷に居を構える楽器のリペア&カスタム工房です。ギター・ベースの調整、パーツ交換、リペア、改造など幅広いオーダーに対応します。
Web : https://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/wsr/index.html