ただいま、都合によりメールによるお見積り・お問い合わせを停止しております。
お客さまにはご不便をおかけしますが、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

自分で出来るバリ取り「実践編①」

皆さんこんにちは。今回は先週に引き続き、過去のコラムの抜粋で、「バリ取りの実践編①」になります。

探そうと思うと、バリの出ている楽器というのはなかなか見つからないもので・・・リフレットの楽器をサンプルにお話を進めていくことをご了承下さい。

①マスキング

指板サイド・指板面にマスキングテープを貼ります。必ず貼らなくてはいけないという訳ではないのですが、万が一、手が滑ってフレットトップや指板を削ってしまうという
不慮の事故から被害を最小限に抑えるために貼っておくと良いですね。

また、後述しますが、目立てヤスリを持つ人差し指や中指は指版面を滑らすガイドになるので、貼ってあった方が指に当たる指板とフレットの凹凸が緩和されて良い感じになります。

②目立てヤスリの握り方

写真の様に親指を目立てヤスリの面に沿わせて、握り込むといった感じでしょうか・・・。実際にバリを取っていく際には親指の下の面で削っていくというイメージです。

裏から見ると、こんな感じで人差し指・中指・薬指を添えてしっかりと握り込んでいます。

目立てヤスリが手の中でブレないでしっかりと「固定」されているということが非常に重要になります。これがしっかりと出来ないと、フレットを削る際に
切削面が歪んでしまったり、ヤスリがフレットサイドから外れてしまって、思わぬ事故を引き起こす可能性があります。

③削る

目立てヤスリをしっかりと握ったら、いよいよフレットを削っていきますが、気にしなくてはいけないのはヤスリを当てる角度でしょうか?
フレットのクラウンの部分とタングの部分では当然、当てる角度が変わってくるので、最初にクラウン、次にタングというように段階を経て行うのが良いと思います。

角度を合わせて目立てを握り込み、写真の様に人差し指と中指を指板に当てて、イメージとしては削るというよりもあてがった指を指板の上を真っ直ぐ滑らすというイメージで削っていきます。
このときに重要なのは全ての指はもちろん、手首までしっかりと固定することでしょうか?動かしているのは「手」ではなく、「腕」のみです。基本的に力はほとんどいらないですよ・・・。
そして、写真の場合は最終フレットから1フレットまで一気に削るということです。そうしないと、全てのフレットで均一な角度にならないんですよね。

④研磨

目立てで削っただけのフレットは写真の様に傷が目立つのと、触ってみるとザラザラするので、

パットに耐水ペーパーを巻きつけて、同様に最終フレットから1フレットまで均一に研磨すると、

こんな感じに傷が消えます。この状態でネックを握ったり、スライトさせてみて、痛くなけれ我々の場合、バフをかけてフレットをピカピカにして仕上げますが、

ご家庭の場合は金属磨きクロスを使って磨いてあげると、結構な光沢が出てくれてよいと思います。

もし、ココまでやってまだ「痛い」という場合はフレットサイドの処理をやり直さなければならないので、この続きは明日ですね。

額田


WSR(リペア&カスタム工房)
熟練の職人技と信念を持つチーフリペアマン・額田誠が率いる、渋谷に居を構える楽器のリペア&カスタム工房です。ギター・ベースの調整、パーツ交換、リペア、改造など幅広いオーダーに対応します。
Web : https://www.ikebe-gakki.com/web-ikebe/wsr/index.html

関連記事

リペアマンのブログ
機能的デザイン
機能的デザイン

YAMAHA Pacificaに搭載されていたRockin Magic Pro Ⅲ六角スクリューが二段になっていますが、上はストリングロックスクリュー(弦をロックするためのネジ)、下はオクターブ調整をするための六角ネジに […]

Read More...
Repair
ブリッジの落とし込み加工
ブリッジの落とし込み加工

ブリッジ交換のみご希望でしたが実際に交換するブリッジを合わせてみると、ブリッジプレートが元よりも厚くなっており、サドルを1番下まで下げても希望されていた弦高まで下がりませんでした。 ネックの裏にシムを挟んでネックの角度を […]

Read More...
Archive
自分で出来るバリ取り「実践編②」
自分で出来るバリ取り「実践編②」

今日は昨日の続きですね。「バリ取り」というよりはエッジ処理とボールエッジ処理についての解説です。当時の古い写真なので、あまり綺麗に撮れていませんがご了承ください・・・。 前回は目立てヤスリを使って、バリを取っていきました […]

Read More...
Repair
ボディ弦高
ボディ弦高

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、弦からボディトップまでの間の数値を指します。 基本的に弦高を決める際には弦とフレットの間の数値を見て基準値に合わせています。ボディ弦高は、楽器自体の設計やピックガードの有無で各モデ […]

Read More...
Accessory
仕込み中
仕込み中

牛骨OILナットの仕込み中です。グリス+αを混ぜたものに牛骨ナットを漬け込み、湯煎にかけます。こうすることによって、少し透き通るような感じになって、弦の滑りも良くなります。90年代前半からWSRでは定番のナットになります […]

Read More...
Modify
フレットレス
フレットレス

本日はフレットレス加工の真っ最中です。 メイプルのツキ板を指板Rと同じRにカットして、次々とフレット溝に入れていきます。 しっかりとはまっていないと、フレット溝から浮いてしまったり、やたらとネックの剛性が弱いネックになっ […]

Read More...
Accessory
ハイパスコンデンサー
ハイパスコンデンサー

ボリュームを絞った時に音量と一緒に高音が落ちてモコモコっとしたような音になってしまう事があります。 それを解消してくれるのが「ハイパスコンデンサー」です! ボリュームポットはそれぞれピックアップに対応した抵抗値があり、シ […]

Read More...
気ままな日記
ストリングワインダー
ストリングワインダー

ベース用のペグワインダー、かなりすり減り、割れてしまっています。扱いにくくなってきてるのですが、「まだ使えるかな・・・」なんて思いながら、もったいなくなってしまうので、もうしばらく使い続けそうです。かれこれ10年以上使用 […]

Read More...

最近の投稿

カテゴリー

アーカイブ

ACCESS

WSR(ダブリュ・エス・アール)
WSR(ダブリュ・エス・アール)

〒150-0043
東京都渋谷区道玄坂1-7-4 スクエアB 3F
TEL.03-6433-7957
E-Mail wsr@ikebe.co.jp